ファンタジースプリングスホテルでダッチェスを追う

ファンタジースプリングス

ファンタジースプリングスのストーリーにたびたび登場する謎の女性、通称「ダッチェス」。

彼女はファンタジースプリングスのストーリーとって超重要人物であるはずなのですが、いまいちその人物像が掴めません。(ネモ船長の方がまだ情報があるレベル)

この記事ではそんな「ダッチェス」に注目し、彼女がどのような人物なのか考察していきたいと思います。

まずは公式サイトを見てみよう

まずは基本中の基本、公式サイトを確認してみましょう。

バックストーリーを知る上で公式サイトの情報は基本的には信用してOKで、特にそれがオープンしたてのアトラクションや施設に関するページであれば、ほぼ100%正確と言って良いと思います。

ファンタジースプリングスホテルの公式サイトには以下のように記述があります。

昔々、はるか遠いところに、精霊の住む魔法の泉がありました。
泉の精霊は美しい庭を育むかたわら、好奇心の赴くままに水の流れに乗って旅をし、数々のファンタジーの物語に出会いました。
精霊は魔法の泉へ戻ると、魔法の力を使って泉のまわりの石や木をけずり、出会った人々に似た複雑な形をつくりだしました。そして、旅先で耳にしたいくつものメロディを口ずさみながら、水を踊らせてはしゃぎまわりました。

時は流れ、ある日、旅と冒険を愛する“ダッチェス”と呼ばれるひとりの女性が、この美しい魔法の泉にやって来ました。彼女が、泉から湧き出る水や川の流れをたどって進んでいくと、そこにはさまざまな物語の世界が広がっていました。
魔法の泉に魅了された彼女は、その近くに別荘を建てましたが、やがて、より多くの友人たちとこの物語の世界をわかちあうために、大きな屋敷を建てました。
いまでも、泉から流れ出る小川をたどっていけば、さまざまな物語の世界を訪れることができるでしょう。

(c)www.tokyodisneyresort.jp

なるほど。ここではファンタジースプリングスの成り立ちと、それを発見した「ダッチェス」が大きな屋敷(ファンタジースプリングスホテル)を建てるに至った経緯が説明されているようですね。

「ダッチェス」という呼び名について

「Duchess(ダッチェス)」は「公爵夫人」という意味であるため、その点だけ考えると本名というより、ただの呼び名であるように思えます。

先ほどの公式サイトにもわざわざ「“ダッチェス”と呼ばれるひとりの女性」という書かれ方をしているので、本名ではなさそうですよね。

念の為、公式サイトの英語版も確認してみましょう↓

Once upon a time in a land far away, there was a magical spring where a spirit lived. While the spirit fed beautiful gardens, she was curious and flowed great distances where she encountered enchanted stories. Upon returning home, the spirit used her powers to sculpt stone, branch, and bank into intricate shapes resembling those she met. As she bubbled and sparkled in pools, fountains, and waterfalls, the spirit often sang melodies discovered on her many journeys.

One day a Duchess, who loved travel and adventure, discovered the beauty of the springs. Wandering along the rivers and streams of the springs, the Duchess found herself transported to magical places.
The Duchess loved the enchanted springs so much that she built a little summer home nearby.
As more of her friends visited, the Duchess built a grand palace to host them all. Even today, should you follow the water flowing from the springs source, you would come to fabled kingdoms found in storybook tales.

(c)www.tokyodisneyresort.jp

基本的には日本語版と同じ内容が書かれているっぽいですが、ダッチェスの名前に関して少し違いがあります。

英語版には「ダッチェス」が呼び名であるようなニュアンスはなくて、代わりに「a Duchess」や「the Duchess」とだけ書かれています。

人名などの固有名詞に”a”とか”the”などの冠詞は基本的につけないはずなので、普通に考えればやはり「ダッチェス」はただの呼び名である可能性が高そうです。
(とはいえ、例えばその人の名前以外の情報がよくわからない場合や名前を強調したい時などには、人名にも意図的に冠詞をつけることがあるそう)

ダッチェスの人物像

公式サイトの文章からわかるダッチェスの情報は以下の通り。

  • 「ダッチェス」はあくまで呼び名で、本名ではないっぽい
  • 冒険好きで様々な土地を旅している
  • すごくお金持ち

巨大な屋敷を建てられることや、「Duchess(ダッチェス)」=「公爵夫人」という呼び名から考えても、彼女は相当格式高く、財力のある人物なのでしょう。

それにしても、様々な土地を旅していて、かつお金持ちって、すごくS.E.A.みを感じます…。

ファンタジースプリングスギフトのプロップス

ギフトショップ「ファンタジースプリングスギフト」は一応ファンタジースプリングスホテルに属する施設です。(ホテル内からは入れないですけど)

このショップではダッチェス関連のプロップスを複数見ることができます。

壁に書かれたストーリー

まず、店内の壁には2つの物語が書かれています。

Once upon a time in a land far away, there was a magical spring where a spirit lived. While the spirit fed beautiful gardens, she was curious and flowed great distances where she encountered enchanted stories. Upon returning home, the spirit used her powers to sculpt stone, branch, and bank into intricate shapes resembling those she met. As she bubbled and sparkled in pools, fountains, and waterfalls, the spirit often sang melodies discovered on her many journeys.

One day a Duchess, who loved travel and adventure, discovered the beauty of the springs. Wandering along the rivers and streams of the springs, the Duchess found herself transported to magical places. The Duchess loved the enchanted springs so much that she built a little summer home nearby. As more of her friends visited, the Duchess built a grand palace to host them all. Even today, should you follow the water flowing from the spring’s source, you would come to fabled kingdoms found in storybook tales.

あら、この文章、先ほど紹介した公式サイト(英語版)の文章と完全に同じですね。
日本語版は最初に確認したので、わざわざ和訳はしなくて良いですね。

とはいえ、公式サイトは文章だけだったのに対し、ここには挿絵が描かれていますね!
しかもダッチェスの姿が!

これはダッチェスがファンタジースプリングスを見つけたときの様子なのでしょうか。

ダッチェスのノート

ファンタジースプリングスギフトのレジカウンターの後ろには、ダッチェスが魔法の泉のことを綴ったノート飾られています。

次のようなことが書かれています。

今日トンボを追いかけていくと、魔法の水が湧き出す場所を見つけた。この魔法の水によって、非常に美しい花々が育っている。

ダッチェスさんは、とあるトンボを追いかけてファンタジースプリングスを見つけたようですね。

実際、ファンタジースプリングスホテルにとってトンボは非常に重要なモチーフであるようで、次に紹介するようにホテル内では数多くのトンボのモチーフを見ることができます。

ファンタジースプリングスホテル内のトンボのモチーフ

ホテル内を散策していると、トンボという存在がファンタジースプリングスホテルにとっていかに重要なのかがわかります。

まず、ホテルに入るとまず2匹のトンボで形作られた照明が目に入ります。

グランパラディラウンジの中央には、強大なトンボと蝶の印象的なモチーフあります。

そして、グランドシャトーにあるレストラン「ラ・リベリュール」。
「Libellule(リベリュール)」とはフランス語で「トンボ」という意味で、その入り口にはやはりトンボのモチーフがあります。

グランドシャトーの廊下にあるダッチェスの絵画

ファンタジースプリングスホテル グランドシャトーの廊下には、こんな絵画が飾られています。

グランドシャトーに泊まると、部屋に案内していただく際にホテルのキャストさんがこの絵画の前でダッチェスさんの紹介をしてくれます。

キャストさんによると、ここにはダッチェスがトンボに導かれてファンタジースプリングスを発見した様子が描かれているそうです。

ファンタジースプリングスギフトの店内にあったダッチェスさんのノートにも、「トンボを追いかけて魔法の泉を発見した」と書かれていたので、その内容とも一致しますね。

他にもこの絵の中には、ダッチェスさんを導いたトンボや、ファンタジースプリングスを象徴するハスの花が描かれています。

タペストリー

ファンタジースプリングスホテルの1階には3枚のタペストリーが展示されています。

全てのタペストリーに女性が描かれていますが、これらは全てダッチェスさんを描いたものだと思われます。

特に3枚目の、4人の女性が描かれた神秘的な絵に関しては、ファンタジースプリングスホテルに携わったイマジニアが次のように述べています。

いちばん大きいタペストリーに描かれているのは、人生のさまざまな場面で魔法の泉を楽しんでいる、ダッチェスの姿です。

ディズニーファン 2024年7月号増刊 東京ディズニーシー ファンタジースプリングス大特集号、講談社、2024年

人間というよりも神様のような描かれ方をしているので、ダッチェスさんのイメージにすぎないのかもしれませんね。

グランドシャトーの各エレベーターホール

グランドシャトーのエレベーターホールには、各階でそれぞれ異なるプロップスが展示されています。

キャストさんによると、ここにあるのはダッチェスのコレクションや、人からの贈り物などだそうです。

一つずつ確認していきましょう。

ガラス製品・陶磁器の展示(4階)

花瓶や壺、グラスやボトルなど、非常に高価そうなガラス製品や陶磁器が展示されている棚です。

ここは美術館なのかと錯覚しますね。

絵画・スケッチの展示(5階)

絵画やラフなスケッチ、そしてそれらを描くのに使用されたと思われる絵の具などが展示されています。

先ほどのタペストリーにもダッチェスさんが絵を描いている様子がありましたし、ダッチェスさんは絵を描くことが趣味なのかもしれません。ここにある絵が全てダッチェスさんによって描かれたとかもあり得そうです。

そしてこれはダッチェスさんの似顔絵でしょうか…?
今までダッチェスさんの姿はデフォルメされたイラストなどでしか見ることができませんでしたが、ここで初めてダッチェスさんの素顔が明かされたのかもしれません。

楽器・陶磁器の展示(6階)

左上、右下には陶磁器っぽい人形や花瓶が。

そして左下には弦楽器である「リュート」、右上にはその楽器を持つ女性(少女?)の肖像画が。

これもダッチェスさんの肖像画なのでしょうか?

5階にある肖像画と顔立ちは似ていますが、こちらの方が若く見えます。
こっちはダッチェスさんの若い頃の肖像画という可能性がありますね。

ここに展示されているリュートはダッチェスさんが昔よく弾いていた、なんてストーリーが想像できます。

バイオリン・楽譜の展示(7階)

この棚で特徴的なのは、下の段にあるバイオリンと楽譜ですね。

ちなみにこの楽譜は、有名なオペラ『Manon(マノン)』の台本と楽譜の一部です。

これもダッチェスさんの趣味の一つだったりするのでしょうか。

アンティーク科学器具・写真の展示(8階)

古い望遠鏡や、双眼鏡や古いカメラなど、アンティークの科学器具が展示されています。また、そのカメラで撮影されたと思われる写真もいくつか展示されています。

エレベーターの声

ダッチェスさんとは直接関係ないですが、ファンタジースプリングスホテルのエレベーターの声はミッキーではなく渋い男性の声です。

キャストさんによると、この男性は「Major Domo(執事長)」と呼ばれる人物ということです。

これを教えてくれたキャストさんはわざわざ裏まで確認しに行ってくれたので、公式設定っぽいですね。

ホテルのキャストさんはみんなダッチェスさんに雇われているスタッフという設定ですが、執事長ということは、その中でも最も立場が高い人物だと思われます。

キャストさんは誰もダッチェスさんに会ったことはないということですが、執事長はダッチェスさんに最も近いと思われ、彼ならダッチェスさんにも会ったことがありそうです。

余談:ダッチェスさんはS.E.A.メンバーなのか?

この記事の最後に、個人的にずっと気になっていた、ダッチェスさんがS.E.A.メンバーなのではないかという疑問を考えていきます。

一部のディズニーファン(私を含め)は、S.E.A.が大好きで、新しいアトラクションや施設ができるたびに、「これS.E.A.と関係してるんじゃね?」と結びつける癖がついていると思います。

私は初めて公式サイトでダッチェスさんのストーリーを読んだとき、「めっちゃS.E.A.っぽいな!」と思いました。
だって「旅が好き」で「お金持ち」って、S.E.A.のテンプレみたいな要素なんですよ。

そして、ファンタジースプリングスがオープンして、ダッチェスさんに関わるプロップスを見ていくと、ますますS.E.A.感が増してきました。

まず、グランドシャトーの棚に飾られた多数のコレクション。
これは、同様にコレクション収集家であったハイタワー三世やヘンリー卿を思い起こさせます。

他にも、ファンタジースプリングスギフトにあったダッチェスさんのノートの記述、「今日トンボを追いかけていくと、魔法の水が湧き出す場所を見つけた。」という点も、S.E.A.の要素を彷彿とさせます。

以下の記事で前に紹介したように、S.E.A.の世界には「魔法や不思議な力が吹き出す場所」が多数存在し、これは「フォント」と呼ばれています。
(ホテルハイタワーもフォントの上に建てられているという後付け設定。)

ダッチェスさんのノートに書かれた「魔法の水が湧き出す場所」という表現が、このフォントの概念にピッタリと当てはまる気がするんですよね。

とはいえ、結局ダッチェスさんがS.E.A.メンバーであるという証拠はどこにもありません!

正直、ファンタジースプリングスホテルの中にS.E.A.の紋章などがあれば良いなと思っていたのですが、隅々まで探検してもそのようなものは一切見つかりませんでした。

もっと言うと、ダッチェスさんとファンタジースプリングスホテルの物語はディズニープリンセスたちと結びつきが強く、現実世界を題材にしているS.E.A.とは微妙にマッチしないのかなとも思います。

結論:ダッチェスさんはめっちゃS.E.A.っぽいけど、それを裏付けるものはない。

コメント

  1. びぃ より:

    ファンタジースプリングスを作った精霊ってティンクなんですかね?ビジーバギーもあるし、そうだと可愛いなぁ。
    先日訪れましたが一つのテーマパークかと思うぐらいのレベルで感動しずっと泣きそうでした。

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