今回はディズニーランドパリにある、ノーチラス号の内部を探検できるアトラクション「Mystery of Nautilus」を解説します。

本記事の写真は、先日ディズニーランド・パリをご旅行されたMURAKO(@murako7813)さんにご提供いただきました。MURAKOさん、誠にありがとうございます!
アトラクション基本情報
「Les Mystères du Nautilus(英語表記では “The Mysteries of the Nautilus”)」は、ディズニーランドパリにあるウォークスルータイプのアトラクションです。

このアトラクションは、パーク内の「ディスカバリーランド(Discoveryland)」に位置しています。ディスカバリーランドは他の国のパークでいう「トゥモローランド」的な立ち位置ですが、よりレトロフューチャーにテーマを寄せています。
フランスのディズニーということで、特にフランスのSF作家ジュール・ヴェルヌの作品に強く影響を受けている部分が多いのが、このエリアの大きな特徴です。ジュール・ヴェルヌといえば東京ディズニーシーのミステリアスアイランドの印象が強いですが、ディズニーシーよりもディズニーランド・パリの方が早くオープンしており、ディズニーシーは確実にこのディスカバリーランドの影響を受けています。

そんなディスカバリーランドの中でも「The Mysteries of the Nautilus」は、ジュール・ヴェルヌ原作そのものではなく、ディズニー映画版『海底二万マイル(20,000 Leagues Under the Sea)』を正式な題材としたアトラクションです。映画で描かれたノーチラス号のデザインやストーリーを忠実に再現しており、ゲストはネモ船長の潜水艦内部を歩きながらその物語の一端を体験できます。
ノーチラス号の外観

アトラクション前の湖には、これからゲストが入っていくという設定のノーチラス号が、映画そのままの姿で浮かんでいます。
我々が見知った東京版ノーチラス号と瓜二つなのは、両方がディズニー映画版のノーチラス号をモデルにしているから当然ですね。
ただ、船のサイズは、パリ版の方が東京版よりも一回り大きく作られています。
ノーチラス号のスペックと艦内マップ

ノーチラス号が浮かぶ湖の前にあるボードには、ノーチラス号のスペック表と艦内マップが記載されています。
スペック表
全長 | 70メートル |
全幅 | 8メートル |
重量 | 1,500トン |
材質 | 鋼板(スチールプレート) |
動力源 | 電気 |
最大潜航深度 | 6,950ファゾム |
速度 | 50ノット |
母港 | Vulcania(ヴォルケイニア) |
全長70m と記載があります。映画のさらに原作となったジュール・ヴェルヌの『海底二万里』に登場するノーチラス号も同様に70mという設定だったので、その設定をそのまま引き継いでいると言えますね。東京版のノーチラス号も、見た目は小さめですが、ストーリー上では70mあるのでしょうね。
また、動力源の記載についてはめちゃくちゃ思うところがあって、このブログではノーチラス号の動力について何度も考察記事を書いてきました。マニアックですが、気になる方はぜひ読んでみてください。
また、母港の Vulcania(ヴォルケイニア)は、映画に登場したネモ船長の基地がある島の名前です。ネモ船長はこの島でノーチラス号を完成させました。
ちなみに東京にあるミステリアスアイランドはこの島に酷似しており、ミステリアスアイランドの正式な島の名前も Vulcania(ヴォルケイニア) であることから、映画に登場したこの島の設定が東京ディズニーシーにも引き継がれていることがわかります。
艦内マップ

ノーチラス号の艦内マップには、ゲストがこれからお邪魔するノーチラス号の各部屋が記載されています。
前方ハッチ | 乗員が出入りするためのハッチ(出入口)のひとつ。ノーチラス号が船の上部を海から出した状態で、乗員が海上に出るときに使用される。 |
バラスト区画 | 浮力を調整するための区画で、複数のバラストタンク(前後)を含む構造全体。 |
前方バラストタンク | 船首側に位置するバラストタンク。ここ重さで前後バランスを制御する。 |
ネモ船長の私室 | ネモ船長専用の居室。 |
船員居室 | 乗組員たちの寝起きや生活を行うエリア。ベッドや簡易家具が設置されている。 |
潜水ハッチ | 乗員が出入りするためのハッチ(出入口)のひとつ。外洋探査などで潜水時に海中へ出入りするために使用される。 |
海図室 | 航海用の海図や計器を保管し、航路を計画するための部屋。 |
食堂 | 乗組員が食事をとるための共同スペース。 |
厨房 | 乗組員の食事を調理する厨房。 |
冷蔵室 | 食料を保存するための低温貯蔵庫。長期航海のために必須。 |
操舵室 | 舵を操作し、航行を制御する主要操縦室。主にネモ船長によって操作される。 |
潜水室 | 海中作業のためにダイビングを行う部屋。ここに潜水服なども準備されている。 |
サロン | 船内の中心的空間で、海底を見渡せる巨大な窓や、オルガンなどがある居間兼談話室。 |
後方ハッチ | 乗員が出入りするためのハッチ(出入口)のひとつ。ノーチラス号が船の上部を海から出した状態で、乗員が海上に出るときに使用される。 |
「ウォーキングビーム」エンジン | 蒸気機関の一種で、上下に動くビームが動力を伝える構造。ノーチラス号の推進力を生み出す。 |
発電機 | ノーチラス号全体に電力を供給する発電装置。 |
燃料庫 | 蒸気機関または発電機に必要な燃料の貯蔵庫。 |
後方バラストタンク | 船尾側に位置するバラストタンク。ここの重さで前後バランスを制御する。 |
蒸気プラント | 蒸気を発生させる設備。エンジンまたは発電機に必要。 |
このマップのうち、色が明るい部分がゲストが実際にアトラクションで見ることができるエリアです。
ゲストに見せる部屋を船の上層階に配置しなければならない都合上、各部屋の配置が映画と異なっていますが、そこはツッコまないでおきましょう。
ここからはアトラクション内のプロップス解説になります。アトラクションで登場するのは全て、上記の艦内マップに記載された部屋になります。
シーン1:バラストタンク

アトラクション冒頭で見かける大量の財宝は、一見するとネモ船長のコレクションのようですが、実は船を安定させるためのバラスト(重し)に過ぎません。ネモ船長は財宝の価値に興味がなく、映画ではネッド・ランドが海底から持ち帰った財宝も最終的に回収され、このバラストタンクに放り込まれてしまいます。
シーン2: ネモ船長の私室
寝室

ネモ船長のベッドです。結構狭そうですね。
そばの棚には数冊の本(タイトルは判読できません)と六分儀(セクスタント)が置かれています。六分儀は星の位置を測り、緯度を割り出すための航海用計器で、ネモ船長はこれを使ってノーチラス号の進路を決定していたと考えられます。
航海図

ネモ船長の私室の壁面には、映画にも登場した巨大な航海図があります。
上部の計器類は緯度・経度を示す計器です。
この海図は全く同じものが映画にも登場していました。なお映画では Vulcania(ヴォルケイニア島)は以下の座標に位置していることが明示されていました。
北緯12度19分、西経169度28分付近
東京のミステリアスアイランドのモデルの一つが Vulcania(ヴォルケイニア島)であることは事実ですが、ミステリアスアイランドは「南太平洋に位置する」という公式設定がある一方で、上記の座標は 北太平洋 を示していることに注意が必要です。この位置関係については以前の記事で解説済みです。
シーン3: 海図室

ここでは航海用の海図や計器を保管し、航路を計画します。
ここに設置されたVulcania(ヴォルケイニア島)の内容は前回の記事で解説しているので、合わせてご覧ください。
ちなみに、アトラクションでは立ち入りできませんが、横の階段を登っていくと設定上では操舵室があるはずで、これは東京版ノーチラス号の外窓から見えるあの部屋です。

シーン4: 潜水室

ここは海中作業を行うための潜水準備室です。潜水服や装備が整えられ、すぐに海へ出られるように設計されています。

足元には潜水ハッチへ続くトンネルがあり、本当に潜っていけそうな水面がリアルに再現されています。
シーン5: サロン

ノーチラス号の中で最も大きな空間です。
巨大な窓とネモ船長のパイプオルガンが印象的です。
巨大窓

ノーチラス号を外側から見たとき、側面にある巨大な窓がこれにあたります。
アトラクションでは、ノーチラス号の内部から海の景色を眺めることができます。
シャッターが開閉する仕組みもあります。
パイプオルガン

映画でネモ船長が何度も弾いていたパイプオルガンが、ここにそのまま再現されています。扇形に広がるパイプが特徴的で、映画に登場したオルガンと同じデザインです。
正面には鏡が設置されており、映画ではオルガンを弾くネモ船長の後ろ姿を映しつつ、同時に鏡越しに彼の表情を見せるという印象的な演出が行われていました。
20,000 Leagues Under the Sea (1954年、監督:Richard Fleischer、製作:Walt Disney Productions).
かつてはアトラクション内でもこの鏡にネモ船長の顔が映し出される演出があったそうです。(誰も座っていないオルガンに突如ネモ船長の顔が現れるので、意図がよくわからない不思議な演出ではありますが…)
オルガンの前に並んでいる白いボタンのようなものは、ストップノブです。これらを引くことで、どの種類のパイプを鳴らすかを選択し、音色を調整します。

シーン6: エンジンルーム
最後はエンジンルームです。
ノーチラス号の推進力を生み出すためのエンジンとその熱源が映画のまま再現されています。前にこのエンジンルームについて触れた記事があるので、詳細に興味がある方はそちらをご覧ください。
ノーチラス号のエネルギーやエンジンについては謎や変な部分が多く、このブログでも解説当初からずっと触れ続けている話題でもあります。
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